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『話せば、燃える。TAKIGI Talk Live』 レポート vol.2 頓花聖太郎氏「ホラーをビジネスにする」

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Vol.2 「ホラーをビジネスにする」
2019年10月24日(木)18:00~20:00

ゲスト:
頓花聖太郎氏
株式会社闇 代表取締役

コーディネーター:
藤脇慎吾氏
有限会社フジワキデザイン 代表
京都市立芸術大学 非常勤講師

聞き手:
越田英喜
一般財団法人大阪デザインセンター 理事長

 

ホラーは感情のデザインだ

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左から頓花さん、藤脇さん、越田

「TAKIGI Talk Live」の2回目は、ホラーとテクノロジー「ホラテク」で新しい感動を作り出す、株式会社闇の代表取締役である頓花聖太郎(とんか せいたろう)さんが登場。会場は、前回と同じく大阪・堺筋本町の丸一商店株式会社1階ギャラリー。31名の参加を得ました。

今回の3人は、師弟つながり。頓花聖太郎さんは、宝塚造形芸術大学(現・宝塚大学)での藤脇慎吾さんの教え子。その藤脇さんは京都市立芸術大学で、当センターの越田英喜理事長の生徒だったという縁です。

冒頭、越田理事長が、「TAKIGI Talk Liveをきっかけに、来年には『デザイン焚き火塾』を立ち上げたいと思っています」と構想を発表。「大阪には素晴らしい人材がいっぱいいるのにアイデアや知識が共有できていない。大阪のクリエイターをそこで紹介していきたい」。また、「今の時代は混沌としていて闇だと思う。だからこそ、そこから何かがでてくるかもしれない。不安感と恐怖があるからこそ面白い」と、頓花さんに話題をつなぎました。

頓花さんのトークのタイトルは、「ホラーをビジネスにする」。

頓花さんはもともとグラフィックデザイナーで、2015年に株式会社闇を設立。その後2018年にMBSグループの一員に。ホラーをビジネスとして扱い、ホラーとテクノロジーを掛け合わせた造語「ホラテク」は商標登録も済ませています。

 

ホラーはWebと相性がいい

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頓花さんは、今までに株式会社闇が手がけてきた事例を、スライドを使いながら多数紹介。たとえば、寝そべったまま体験するVR作品「怨霊の金縛り」。VRとお化け屋敷を組み合わせた「お顔をちょうだい 老婆の呪面」。遊園地の観覧車で体験する「血バサミ女の観覧車」など。タイトルも画像もおどろおどろしい…! 頓花さんは「ホラテク」はセッティングがとても重要であること、また、ホラーと直接関係のないものをホラーと組み合わせることで価値が生まれ、意外性と広がりが狙えることなどを力説しました。

Web作品「幽霊専門の脱毛サロン」を紹介しながら、「ホラーはWebと相性がいいのも特徴で、これなんかはっきりいってツッコミどころのありまくるコンテンツなんですが、そのほうが見た人がSNSなどで拡散してくれてアクセスが増えるんです。すると検索に引っ掛かりやすくなり、会社が儲かるという好循環が生まれます」。

株式会社闇のサイトについても、「日本一怖い公式サイトを目指している」ときっぱり。「しかも、これ全部見るだけで10分もかかるんです。途中でクモが出てきたりとか仕掛けもあって楽しんでいただけますよ。まあ、こんな会社です(笑)」と、実に楽しそうに語ってくださいました。

 

脳は簡単に騙せてしまう

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後半はディスカッションに入りました。

越田理事長が「私はホラーといえば比叡山のお化け屋敷を思い出しますね」と言うと、「お化け屋敷って、脅かすほうも脅かされるほうも楽しいんですよね」と頓花さん。「ホラーといえばゾンビを思い浮かべる」とは藤脇さん。頓花さんは「ゾンビは天才的」と絶賛。「分身が増えていくということで、一個のキャラクターでは生み出せなかった別種の恐怖が生まれた。数が多くなるだけで真綿で首を締められるような恐怖が作れるんですよ」

さらに、「ホラーはすごくジャンルが幅広い。スプラッター、ジャパニーズホラー、オカルト、SF寄りのものもある。だから、誰にでも自分に合うホラーがある。僕の作るものは完全にエンターテインメントですから、安心して怖がれるんです」。

そんな中で、頓花さん自身が怖いと感じているのは、意外にも「テクノロジーとホラーがあまりにも相性が良すぎる」ことだといいます。「 VR なんかを作っているとわかるんですが、人の脳って簡単に騙せるんだなと思う。だから悪用すると怖い」。あくまでもエンターテインメントとしてホラーを提供する―ゆえに、表現手法については細かなチェックをしているとのこと。

 

ホラーはカレーである!?

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客席からもさまざまな質問が出ました。

―事業内容をホラーに特化する怖さはなかったですか?
「ホラーは感情のデザインといってもよくて、作っていて飽きないんです。一時期、Webデザイン業界を襲った大波というのがあって、それはシンプルが一番という『フラットデザインの波』だったんですね。僕は、それはつまらないと思った。ホラーデザインによってできる感情の増幅はすごいのに」

―なぜ人はホラーにこんなに惹きつけられるのでしょうか?
「怖いと思うものって、その人の原体験なんですよね。だからターゲットの世代によって違う風景がベースになってくると思います。恐怖は脳の深い部分に関係があり、本能は新しいものに反応しにくい面もある。その一方で、人間は恐怖を楽しむという感情ももっていて、未知のものに対する好奇心が恐怖心を上回る場合がある」

また、ホラーとカレーは似ているところがあるという説も飛び出しました。
「よりインパクトを出すために、ホラーはつい怖く怖くしようとしてしまう。カレーはつい辛く辛くしようとしてしまう。でも、それでは喜んでくれる人が減ってしまうんです。怖さ、辛さだけがホラー、カレーの味じゃない」

―ホラーが苦手だという人に対してホラーを勧めるときはどうしたらいいでしょうか?
「カレーと同じで、甘いものから徐々に辛いものにして慣らしていくことですね」

「ホラーに地域性はあるのか。関西ではこんなホラーが受けるという傾向とか…」。そんな藤脇さんの投げかけには、「恐怖は笑いに近いものがあるので、関西人には変換しやすいと思う」と頓花さん。「東京では、お化け屋敷に対する反応もスタイリッシュですよ」

 

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ホラーの6割は音

越田理事長は「社名に使われている、闇という漢字に興味があった。暗黒の暗という漢字にも、闇という漢字にも、音という字が入っていますね」と指摘。頓花さんは「僕もホラーの6割は音だと思っています」とうなずきます。「音を消したら怖くないんですよね。音と絵をどのタイミングで出すかも重要で、絵を出してから音を出すとびっくりするんですが、逆にすると怖くないんです」

さらに越田理事長は経営ビジョンについても質問を。「どのくらいの規模の会社にしたいと思っていますか?」

「社員の人数でいうと20人から30人くらいでしょうか。自分が制作に携わっていたいという気持ちがありますので。とりあえず、日本でホラーといえば闇、といわれるような会社にしたいですね」

これを受けて、越田理事長が締めくくりました。
「闇というコンセプトビジネスには、資本よりもアイデアと技術が大切だと感じました。エンターテインメントのあり方が変化し、メディアが多様化していく時代には、ものすごく大きな産業になる可能性があるのではないでしょうか」

この”闇”の先は、なかなか明るそうです。

 

 

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